ケーキの切れない非行少年たち

本書の内容

児童精神科医である宮口先生は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づきます。

少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことが出来ない非行少年が大勢存在し、問題の根深さは普通の学校でも同じと触れています。

人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する内容です。

他人事ではない非行少年の特徴

この本には他人事に思えない内容が沢山ありました。

僕自身もADHD(注意欠陥・多動性障害)を持っています。そのため非行少年と同じように学生時代には周りの子達が普通にできることが大きなハードルに感じていました。

・先生の板書が追いつかない
・勉強の優先順位がわからない
・忘れ物が多い
・先生の話が何言っているか解らない
・努力しても周りについていけない

このようにスポーツでも学業でも均一化されたレベルに到底届かない為、何度も人格の否定を経験しました、そこから劣等感を抱くようになり悲しい思いをすることも少なくありませんでした。

本書で非行少年のテストの結果を見て『これだけ見えてる世界や感じている世界が違うと生き辛いに違いない。』と感じたと同時に、自分自身の過去の体験から強くシンパシーを感じました。

問題行動の原因は認知機能

この本でベースとなる考え方は【認知機能の不足が様々や問題行動の原因となっている】という部分です。

そして行動変容(解決)には現状の自分に気づくこと、自己洞察や葛藤を持つことが必要と述べられています。

適切な自己評価ができるからこそ『もっといい人になりたい。』といった自己洞察や自己内省が行えると宮口先生は強調していました。

健全に自己評価をすることで初めて対処ができると気付くことができました。

Daisuke Fukami
Daisuke Fukami

健全に自己評価することで自身の認知機能の強化を図れます。

認知機能は強化できる

この本には、非行が起こる根本の原因・教育の在り方や具体的な認知機能強化の方法が詳しく説明されています。

教育者の方はさることながら学校生活や社会生活に生きづらさを感じている人にも、本書はお勧めとなっています。

僕は本書を読むまで、精神疾患や障害を受け入れて生きていくことに対して大きなハードルに感じていましたが、自己への気付きと自己評価の向上をしたいと強く思うキッカケになりました。

僕自身も他人事と捉えず自分事として受け止めて健全に自己を磨き、自身が苦しんだ経験を生かして少しでも生きやすくなるように発信を続けていきたいと思います。

Daisuke Fukami
Daisuke Fukami

弱さと過去を認め改善していきたいですね。

実際にコグトレを体験した感想

認知機能強化トレーニングを実際に行った経験があります。

実際に行なってみて感じたことは相当集中しないと簡単に問題が解けなくなっているということです。

問題を解くというより運動をしている感覚に近い印象でした。

一度体験してからは自身の認知機能能力の現状を知ったと共に、認知機能強化の可能性にとてもワクワクしたのを覚えています。

Daisuke Fukami
Daisuke Fukami

とても楽しくチャレンジできます!

まとめ

本のポイントまとめ

①全ての基礎になる認知機能の不足が様々な問題の原因となっている。
②認知機能強化は1日5分のトレーニングで鍛えることが可能。
③感情を適切に制御できないことは認知機能の発達停滞に繋がっている。
④教育においてはしつけによる矯正ではなく、当人たちの気付きを促すことが重要。
⑤更生に共通するのは『自己への気づき』と『自己評価の向上』が重要。